第一部 LECTURE

基調講演

東京大学 名誉教授・大学院農学生命科学研究科 特任教授の阿部啓子氏より「健康寿命を延ばすには」、国立研究開発法人理化学研究所 生命機能科学研究センター 細胞機能評価研究チーム・チームリーダーの片岡洋祐氏より「茶道の先生はなぜ若々しいのか」と題し、講演を行いました。

健康寿命を延ばすには

阿部 啓子 氏 東京大学 名誉教授・大学院農学生命科学研究科 特任教授

阿部 啓子 氏 阿部 啓子 氏

「健康寿命を延ばすには、健康状態(未病)を把握し、食をはじめとした適切な対策をとることが重要です。
特にお茶にも含まれるポリフェノールの抗酸化機能、ストレス軽減、記憶・認知改善機能に注目しています。」

人生100年時代を迎え、心身共に健やかな状態を維持するためには食生活が重要です。
私たちの身体に対する食品の働き(食品機能)として、
1)栄養面、2)嗜好面、3)疾病予防面 が提唱されました。
とくに、3)は「機能性食品」(functional food)と呼ばれ、現在、特定保健用食品や機能性表示食品として制度化・商品化されています。近年、メタボリックシンドロームなどの生活習慣病に加えて、記憶・認知などの脳機能活性化および身体ロコモーション維持・改善効果を持つ「次世代機能性食品」の研究が重要になってきました。
超高齢社会の日本における次世代機能性食品の研究成果を紹介し、討論の資とさせていただきます。

阿部 啓子 氏 阿部 啓子 氏

基調講演 ダイジェストムービー(1:39)

基調講演 フルムービー(38:44)

茶道の先生はなぜ若々しいのか

片岡 洋祐 氏 国立研究開発法人理化学研究所 生命機能科学研究センター
細胞機能評価チーム・チームリーダー

片岡 洋祐 氏 片岡 洋祐 氏

「お茶の中にはカテキンとテアニンが含まれています。カテキンには動脈硬化の予防、テアニンには神経細胞死の抑制や神経細胞の再生促進といった効果があります。緑茶による脳保護効果が認知症の予防につながると言えます。実際、テアニンを多く含む緑茶末2gを1年間、毎日摂取した結果、脳機能の改善が認められました。日常生活においては、五感を使った体験が大切です。情動が刺激されると脳が活性化されます」

日本人の平均寿命と健康寿命の間には男女とも10年程度の乖離が見られます。その原因の一つとして、加齢とともに心身の活力が低下する「フレイル」とよばれる状態があります。フレイルのリスクとして、運動不足や栄養摂取不足に加え、コミュニケーション不足も挙げられています。
講演では脳科学の立場から、意欲や運動量を保つため積極的にコミュニケーションをとること、また、脳を自然に鍛えるために、自身で食事を作るなど、生活の中でできる工夫についてお話したいと思います。また、生活に「お茶の文化」をうまく取り入れることが、脳機能を保ち、豊かなコミュニケーションを作り出す一助となることにも触れたいと思います。

片岡 洋祐 氏 片岡 洋祐 氏

基調講演 ダイジェストムービー(1:31)

基調講演 フルムービー(41:31)

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